Life

逃亡者

おれの秘密を知りたいかい?まあ、そこに座りなよ。おれは昔、六本木を仕切っていた。こんなしょぼくれたおっさんが。。と思っただろう。いや、うそじゃないんだ。 ちょっと、唐突すぎるかい?話をおもしろくするコツは、最初にインパクトのある言葉をガツン...
Friend

おおきな背中

ちょっと疲れちゃった。。 今までパパと狩りに行ってたんだ。すごかったよ。パパのこの大きな爪でオオカミを一撃。僕たちはオオカミの集まる場所で待ち伏せをしてた。そして、頃合いを見計らって、不意を突いてやったんだ。パパは体がこんなにおおきいのに、...
Life

無の世界で

ねえ、そこのあなた。あなたの人生は、いい人生ですか?これからいいことがありそうですか? 私はいつの間にか、こんな姿になってしまいました。こんな私でも、昔は美男子でならしたものです。社交界ではいつも輪の中心にいて、すべての情報は私を経由して伝...
Friend

わしはただこの世の中を見つめている

わしはこの場所で世の中の移り変わりを見てきた。いろんな人たちがわしの目の前を通り過ぎて行った。明るく希望に満ち溢れたやつ。下ばかり向いてぼそぼそと話す陰気くさいやつ。虎のような御仁にくっついて能書きばかり並べるやつ。 そんな中でもあの男はひ...
Life

物音ひとつしない海の上で

今から漁にでるところだ。あんたらみたいなサラリーマンにとっちゃ、オレら漁師みたいな仕事は信じられねえだろうなあ。今みたいな時間から荷物を積み込んで、深夜から漁を始めるんだ。辺りが暗くなりだしたら、秘密の場所まで船をすすめていく。そんな秘密の...
Friend

この渋滞のなかで

渋滞につかまってしまった。この渋滞の中、オレは家路を急いでいる。このままだったら、どう考えても時間に間に合わないだろう。さっき予約していた店に携帯で連絡を入れた。15分くらい遅れそうだというと「次のお客様がお待ちに。。」ということでキャンセ...
Friend

あのタクシーで

あっ、タクシーだわ。やっと来たわね。気ばかりが急いてしまうわ。彼、乗ってるかしら。出ていく前にもう一度、鏡の前で口紅をチェックしておかないと。。 さっ、もう大丈夫。あの方たち、このブラウス気に入るかしら。私、青が好きなんだけど、ショップの店...
Life

月を眺めている

月を眺めている。今は上弦、右側が光っているときはそう呼ぶそうだ。月の満ち欠けは本当に面白い。月の光っている向きが、そのまま太陽の方向を教えてくれる。最近は温暖化のせいで暑すぎるから、悪者にされることが多いが、やっぱり太陽は偉大なのだ。 昔の...
Life

人間どもよ、オレを憐れめ

さあ、人間どもよ、オレを憐れめ。オレは今、お前ら人間の目を正面から見つめている。そらすなよ。オレは正々堂々とお前の目を見つめている。最低限の礼儀ぐらい払ったらどうだ。 お前ら人間はオレ達のことを、4本足の獣だとしか見ていない。つまり、なめ切...
Smile

自由だー

おれは今、車をぶっ飛ばしている。今日は会社で腹の立つことばかりがあったから、その腹いせというわけだ。今、ようやく会社から解放された。おれはこの瞬間がたまらなく好きだ。「自由だ―」と叫びたい気分だ。光の速さで街並みが後ろに遠ざかっていく。 こ...