Friend ようこそ、黒猫亭へ いらっしゃいませ!ようこそ、私共のささやかなお店へ!えっ、なんでお前がしゃべっているんだって?しかもお前は猫以前に、看板だろうって?いえいえ、看板だからってバカにしないでください。私には立派に「こころ」があるんですから。たしかに私は、動きま... 2026.06.03 Friend
Friend 満月の夜に 満月の夜に、私はあの人のことを思い出している。あの人と別れて、もう三年。最後は「さよなら」も言えなかったわね。二人とも、そんなことを言える状態じゃなかったし。嫌いになったわけではなかった。たぶん、あの人もそうだったと思う。ただ、少しずつ言葉... 2026.05.07 Friend
Friend この手だけは、離さずに さあ、僕の手を握って。しっかりと握るんだよ。君にとって、僕はちょっと頼りなく見えるかもしれない。いや、「かなり」見えるかもしれない。たとえば、あの遊園地の観覧車。「高いところ大丈夫?」って君に聞かれて、「余裕だよ」なんてカッコつけたくせに、... 2026.03.12 Friend
Friend 青春とは 「ねえ、青春ってなんだろうね?」涼子が、波打ち際で足を止めて言った。夕焼けが海に溶けて、影だけになった僕らが、ゆっくり揺れている。「俺たちが今こうしていることだよ」翔太が、当たり前みたいに答える。「これが青春だって。だって、みんな楽しいだろ... 2026.01.22 Friend
Friend シマウマたちの午後会議 「A」なあ……オレたち、なんでこんなにシマシマになっちまったんだろうな。「B」はあ? いきなりなんだよ。そりゃ、仕方ねえだろ。オレたちは――シマウマなんだから。「A」そうだけどさ、悔しいじゃねえか。見てみろよ、あっちの馬。キレイな栗毛、すら... 2026.01.04 Friend
Friend 光の旅の物語 今、私は空にかざした一枚の葉っぱを通して、光の速度を感じようとしている。葉脈の隙間から、細く鋭く漏れてくる一筋の光。それが、私の瞳に届くまでの時間を計算してみる。光の速度は、1秒間に地球をおよそ7周半するほどの速さ。葉っぱの隙間から私の目ま... 2025.08.14 Friend
Friend ずっと、好きでいてね ママ、ねえ、ママ。私のこと、好き?ふと、手をつないで歩きながら聞いてみたくなった。風が海の匂いを運んでくる。足元では木の板がぎゅっと鳴いて、カモメが遠くで鳴いている。時々、心配になるの。だって、ママ、時々悲しい顔をして、お外をじっと見ている... 2025.08.10 Friend
Friend 穴倉に生きて 私はこの場所で静かに生きている。静かに生きるというのは、意外に難しい。というのは、私のその意志を邪魔しようとする輩が結構いるからだ。一番面倒くさいのが、3軒隣のタコ八の小僧だ。やつもここと同じような薄暗い場所で、ひっそりと暮らしている。ただ... 2024.07.15 Friend
Friend さなぎから蝶へ さなぎから蝶へ。私はいつも、このイメージを持って学生時代を過ごしてきた。大人になって、私は蝶になれたかしら…。さなぎは固い殻に覆われた、醜い生き物。美しい蝶になるために、今か今かとチャンスをうかがっている醜い生き物。学生時代の私は、まさにさ... 2024.03.03 Friend
Friend さらば、友よ おーい、アスラーン。あいつ、本当にアブジャに旅立ったのかなあ。アスランは昨夜から消息を絶った。おれはアスランがどこへ行ったのかを知っている。アブジャに新天地を求めて旅立ったのだ。おれにとって、それはうらやましいことだった。うらやましさは、彼... 2023.12.17 Friend