Friend

わしはこの場所で世の中の移り変わりを見てきた。いろんな人たちがわしの目の前を通り過ぎて行った。明るく希望に満ち溢れたやつ。下ばかり向いてぼそぼそと話す陰気くさいやつ。虎のような御仁にくっついて能書きばかり並べるやつ。 そんな中でもあの男はひ...

渋滞につかまってしまった。この渋滞の中、オレは家路を急いでいる。このままだったら、どう考えても時間に間に合わないだろう。さっき予約していた店に携帯で連絡を入れた。１５分くらい遅れそうだというと「次のお客様がお待ちに。。」ということでキャンセ...

あっ、タクシーだわ。やっと来たわね。気ばかりが急いてしまうわ。彼、乗ってるかしら。出ていく前にもう一度、鏡の前で口紅をチェックしておかないと。。 さっ、もう大丈夫。あの方たち、このブラウス気に入るかしら。私、青が好きなんだけど、ショップの店...

私、時々海がこわくなる時があるの。特にこんなに寂しい日はそう。どこまで行っても海が続いている。。この大きな存在が私を飲み込んでどこかに連れ去ろうとしているみたい。この大きな海にとっては、私なんて小さな砂の一粒と変わりない。 普段の生活では、...

あれっ、田中はどこへ行った？さっきまでオレの後ろをくっていていたはずなんだが。。。また、いつものやつのマイペースぶりが出たか。。。やつのマイペースぶりには付き合いきれねえなあ。いいやつなんだが。。。この前も会社の食堂で一緒に飯を食べていると...

雨かしら。。いやねえ。雨ってどうして、人をこんなに悲しい気分にさせるの？涙を想像させるから？そういえば、「空が泣いている」って歌もあったかしら。 あっ、降り出した。そういえば今日の降水確率は４０％だったかしら。微妙な数字。。。気象局の人たち...

【亀】あれっ、俺の背中になんか乗ってるか？やめろって。俺はタクシーじゃねえ。ちゃんと自分の足で歩けって。 【トカゲ】いいじゃないか！ちょっとぐらい。減るもんじゃないし。 【亀】減るんだよ！お前の体を乗っけて、歩くからお前の体重分、体力が減る...

【女性1】あーあ、今日も疲れたー。あのバカ課長、ぜんぜん働かないから、雑用は全部、私に回ってくるのよね。 【女性2】ああ、あの課長ね。うわさによく聞くけど、本当にそうなの？私、部署が違うから、あの課長とは接点がなくて。 【女性1】本当も本当...

君はいいよな。そんなに大きく育って。 君はあんまり考えたことないだろうけど、僕はいつも君と比較されてしまうんだ。それもこれも全部、僕がここで生まれてしまったのが原因なんだ。分かってるって。君を責めるつもりはないし、その権利もない。君が大きく...