Life

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極寒の中で

極寒の中で私はさまよっている。この辺りはもし、今が1月の下旬でなかったら、静かな街だ。ところが、この時期はどうだ。一歩間違えば、凍死しそうな寒さが肌を刺す。つま先の感覚もすでになくなっている。吐く息が白く立ちのぼっていく。体温はどんどん低下...
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あなたを振り向かせたかった

ねえ、あなた。私の愛しい人。元気でやっていますか? 私にとって、あなたはいつも高嶺の花。いつもこうやってあなたの横顔を眺めてたわね。今は踏ん切りがついたけど、一時期、私はあなたを私に振り向かせようと必死だった。でも、あなたはいつも仕事、仕事...
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無邪気な青年

えっ、この席かい?ああ、この席なら空いとるよ。誰もこんなじいさんとは向かい合って座りたくねえだろうからな。 あんた、若いのに勇気があるのお。それとも、怖いもの知らずか。たぶん、後者だろうな。。あんたからは警戒心のかけらも感じられん。それが若...
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野性の世界

都会の生活はどうだい?さぞ、住み心地がいいだろうな。おれ達にとってはお前らがありがたがっている「文明」なんてものが無駄なことに思えてならねえ。コンクリートに囲まれた部屋の中でぬくぬくと育ってきたお前らはそうやってく腐っていくんだ。肉体も、そ...
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逃亡者

おれの秘密を知りたいかい?まあ、そこに座りなよ。おれは昔、六本木を仕切っていた。こんなしょぼくれたおっさんが。。と思っただろう。いや、うそじゃないんだ。 ちょっと、唐突すぎるかい?話をおもしろくするコツは、最初にインパクトのある言葉をガツン...
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無の世界で

ねえ、そこのあなた。あなたの人生は、いい人生ですか?これからいいことがありそうですか? 私はいつの間にか、こんな姿になってしまいました。こんな私でも、昔は美男子でならしたものです。社交界ではいつも輪の中心にいて、すべての情報は私を経由して伝...
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物音ひとつしない海の上で

今から漁にでるところだ。あんたらみたいなサラリーマンにとっちゃ、オレら漁師みたいな仕事は信じられねえだろうなあ。今みたいな時間から荷物を積み込んで、深夜から漁を始めるんだ。辺りが暗くなりだしたら、秘密の場所まで船をすすめていく。そんな秘密の...
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月を眺めている

月を眺めている。今は上弦、右側が光っているときはそう呼ぶそうだ。月の満ち欠けは本当に面白い。月の光っている向きが、そのまま太陽の方向を教えてくれる。最近は温暖化のせいで暑すぎるから、悪者にされることが多いが、やっぱり太陽は偉大なのだ。 昔の...
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人間どもよ、オレを憐れめ

さあ、人間どもよ、オレを憐れめ。オレは今、お前ら人間の目を正面から見つめている。そらすなよ。オレは正々堂々とお前の目を見つめている。最低限の礼儀ぐらい払ったらどうだ。 お前ら人間はオレ達のことを、4本足の獣だとしか見ていない。つまり、なめ切...
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ついに登り切ったぞ!

よし!ついに登り切ったぞ!いい眺めだ。どの山でもそうだが、この登り切った達成感と山頂からの眺めがおれにとってのご褒美だ。これがあるからやめられない。また、次の山にチャレンジしたいと思ってしまう。おれの年齢だと死ぬまでに登れる山も限られている...