Life

輝くような未来

あの情熱はどこへ行った。あのじりじりと焼け付くような灼熱の情熱だ。その場にいても立ってもいられなくなるような強烈な熱を放つ情熱だ。たしかにそんな情熱がかつてのオレの中にはあった。そして、焼けつくような焦燥感を、味わいたくもないのにさんざんオ...
Life

極寒の中で

極寒の中で私はさまよっている。この辺りはもし、今が1月の下旬でなかったら、静かな街だ。ところが、この時期はどうだ。一歩間違えば、凍死しそうな寒さが肌を刺す。つま先の感覚もすでになくなっている。吐く息が白く立ちのぼっていく。体温はどんどん低下...
Life

あなたを振り向かせたかった

ねえ、あなた。私の愛しい人。元気でやっていますか? 私にとって、あなたはいつも高嶺の花。いつもこうやってあなたの横顔を眺めてたわね。今は踏ん切りがついたけど、一時期、私はあなたを私に振り向かせようと必死だった。でも、あなたはいつも仕事、仕事...
Smile

ささやかな恋のてん末

このバーにくると、私は今でも真奈美の笑顔を思い出す。真奈美はよくカウンターの奥から2番目の席に座って、マスターと話し込んでいた。私は会社の帰りにこのバーに寄り、私の定位置、真奈美の座っているカウンターの逆の奥から3番目の席に座ってひとりちび...
Friend

うちのたくろー、見かけませんでしたか?

うちのたくろー、見かけませんでしたか?たくろーがこの3日間ほど、うちに帰ってこないの。。 あっ、たくろーはうちの猫です。「うちの」と言っても、ご存じの通り、猫は気まぐれだから、いつの間にか出て行って、いつの間にか返ってくる感じだったけど。。...
Smile

選ばれた人間

あなたは考えたことがないだろうか?私はもしかして、選ばれた人間じゃないのかって?神様がこの腐った世の中をかえるために、私をつかわされたんじゃないだろうかって? 告白しよう。私は物心がついたときから、自分は選ばれた人間なんだって、固く信じてき...
Friend

また来ちゃった

また来ちゃった。あなたに会うため。。なんてまだ言わないわね。だって、私たち、まだ出会ったばかりでしょ。 今でも覚えているわ。私がはじめてこのお店に来たときのこと。仕事で落ち込んでいて、おあつらえ向きにしとしと雨まで降ってたわ。仕事が終わって...
Life

無邪気な青年

えっ、この席かい?ああ、この席なら空いとるよ。誰もこんなじいさんとは向かい合って座りたくねえだろうからな。 あんた、若いのに勇気があるのお。それとも、怖いもの知らずか。たぶん、後者だろうな。。あんたからは警戒心のかけらも感じられん。それが若...
Life

野性の世界

都会の生活はどうだい?さぞ、住み心地がいいだろうな。おれ達にとってはお前らがありがたがっている「文明」なんてものが無駄なことに思えてならねえ。コンクリートに囲まれた部屋の中でぬくぬくと育ってきたお前らはそうやってく腐っていくんだ。肉体も、そ...
Friend

ヒロシ、ありがとうね。

ねえ、あなた。私のこと、きれいだって思う? 私、人生を楽しみたいから、きれいになることはなんだってやってきた。このまつエクだって。この口紅だって。この髪の毛だって。すべて私自身をきれいに見せるため。 子供のころから、女性は美しくなきゃって、...