あのタクシーで

Friend

あっ、タクシーだわ。
やっと来たわね。
気ばかりが急いてしまうわ。
彼、乗ってるかしら。
出ていく前にもう一度、鏡の前で口紅をチェックしておかないと。。

さっ、もう大丈夫。
あの方たち、このブラウス気に入るかしら。
私、青が好きなんだけど、ショップの店員さんに乗せられて、
緑色にしちゃった。。
私の年齢で緑なんて。。と思ったけど、あんまり店員さんが
ほめるから。。
でも、大丈夫。
ほら、ばっちり決まってるでしょ!
スタイルも私の年齢にしては、きまってるって!
自分に言い聞かせてるな。。
私って自己暗示が得意なの。
さあ、今日はうまくいくー、うまくいくー。

えっ、今日は何があるんだって?
今日は彼氏のご両親に会いに行くの。
そう、あのタクシーで。
そう思うとあのタクシーも感慨深いわね。。
だって、私の一生を決めるタクシーですもの。

ご両親はここから30分ほどの郊外に住んでいらっしゃる。
あのタクシーで彼と一緒にそこまで行くんだわ。
お父様は(やだ!お父様だなんて。)ずっと銀行で勤めあげられて、
今は引退していっらしゃるようなの。
お堅い人かなあ。
やっぱり青のドレスのほうがよかったんじゃない?
もう今から遅いでしょ!

車の中で彼と会話のシミュレーションをしなきゃ。
ぶっつけ本番なんて絶対に無理!
さあ、私の未来がどう転ぶか。。今日決まる。
あなたも私が今日うまくいくように祈っててね。

いやだ。私さっきから誰としゃべってるのかしら?
もう、行くわね。
そこで私のことを見守ってくれている、あなた。

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