Friend

わしはただこの世の中を見つめている

わしはこの場所で世の中の移り変わりを見てきた。いろんな人たちがわしの目の前を通り過ぎて行った。明るく希望に満ち溢れたやつ。下ばかり向いてぼそぼそと話す陰気くさいやつ。虎のような御仁にくっついて能書きばかり並べるやつ。そんな中でもあの男はひと...
Life

物音ひとつしない海の上で

今から漁にでるところだ。あんたらみたいなサラリーマンにとっちゃ、オレら漁師みたいな仕事は信じられねえだろうなあ。今みたいな時間から荷物を積み込んで、深夜から漁を始めるんだ。辺りが暗くなりだしたら、秘密の場所まで船をすすめていく。そんな秘密の...
Friend

この渋滞のなかで

渋滞につかまってしまった。この渋滞の中、オレは家路を急いでいる。このままだったら、どう考えても時間に間に合わないだろう。さっき予約していた店に携帯で連絡を入れた。15分くらい遅れそうだというと「次のお客様がお待ちに。。」ということでキャンセ...
Friend

あのタクシーで

あっ、タクシーだわ。やっと来たわね。気ばかりが急いてしまうわ。彼、乗ってるかしら。出ていく前にもう一度、鏡の前で口紅をチェックしておかないと。。さっ、もう大丈夫。あの方たち、このブラウス気に入るかしら。私、青が好きなんだけど、ショップの店員...
Life

月を眺めている

月を眺めている。今は上弦、右側が光っているときはそう呼ぶそうだ。月の満ち欠けは本当に面白い。月の光っている向きが、そのまま太陽の方向を教えてくれる。最近は温暖化のせいで暑すぎるから、悪者にされることが多いが、やっぱり太陽は偉大なのだ。昔の人...
Life

人間どもよ、オレを憐れめ

さあ、人間どもよ、オレを憐れめ。オレは今、お前ら人間の目を正面から見つめている。そらすなよ。オレは正々堂々とお前の目を見つめている。最低限の礼儀ぐらい払ったらどうだ。お前ら人間はオレ達のことを、4本足の獣だとしか見ていない。つまり、なめ切っ...
Smile

自由だー

おれは今、車をぶっ飛ばしている。今日は会社で腹の立つことばかりがあったから、その腹いせというわけだ。今、ようやく会社から解放された。おれはこの瞬間がたまらなく好きだ。「自由だ―」と叫びたい気分だ。光の速さで街並みが後ろに遠ざかっていく。この...
Life

ついに登り切ったぞ!

よし!ついに登り切ったぞ!いい眺めだ。どの山でもそうだが、この登り切った達成感と山頂からの眺めがおれにとってのご褒美だ。これがあるからやめられない。また、次の山にチャレンジしたいと思ってしまう。おれの年齢だと死ぬまでに登れる山も限られている...
Life

さあ、早くあのドアを抜けるのだ

ここは暗くじめじめした場所だ。私はここに30年居座っている。早くここから出たいという気持ちを抑え込んで生きてきた。ときにはなじられ、もうここまま生き続けるより、いっそ、首でもくくったら。。なんて考えた時期もあった。まさに地獄のような日々だっ...
Life

静けさの中で

今は朝の午前3時だ。静かな時間だ。物音ひとつしない。私はこの時間帯に街を歩くのが好きだ。夜はいつも20時に寝ているから、それが可能だ。私は50代の時に生活習慣を変えた。それもこれもこの時間帯に街を歩くためだ。それは正解だったと今は思っている...