この静かな森の中で、私はひとり、立ち止まっている。
雨上がりの地面にはいくつかの小さな水たまりが残り、
木々の葉はしっとりと濡れ、空からはまだ、わずかな光しか届いていない。
音がないわけではない。
鳥の羽音、葉のしずくが落ちる音、遠くの風のかすれた声。
けれどそれらはすべて、「静けさの一部」として溶け込んでいた。
この森の空気には、不思議な透明感がある。
呼吸をするたびに、自分の内側が洗われていくような感覚さえある。
私は今、いろいろなことを考えている。
今まで歩いてきた道。
誰と出会い、どこで躓き、何を得て、何を失ったのか。
振り返るには少しばかり早い気もするが、
この森の静けさは、そうした思索を自然と引き出してくれる。
そして同時に、
これからの人生のことも考える。
残された時間は、そう長くはないかもしれない。
けれど、だからこそ、一日一日がいっそう貴重で、重たく、そして愛おしい。
これまで以上に、自分に正直に生きたい。
無理をしすぎず、媚びず、焦らず。
誰かのために時間を使い、そして、自分のためにも何かを残していきたい。
この森にいると、不思議と「言い訳」が消えていく。
「本当はこうしたかった」「だけどできなかった」
そんな言葉が、枝に引っかかってどこかへ消えていくようだ。
私はただ、自由に思考を走らせている。
空白が許されるこの空間で、心の奥の奥まで潜っていく。
その果てに何があるのかは、まだわからない。
けれど、この静けさがくれる確かなことがひとつある。
それは――「私の人生は、まだ終わっていない」ということ。
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