この手だけは、離さずに

Friend

さあ、僕の手を握って。
しっかりと握るんだよ。

君にとって、僕はちょっと頼りなく見えるかもしれない。
いや、「かなり」見えるかもしれない。

たとえば、あの遊園地の観覧車。

「高いところ大丈夫?」って君に聞かれて、
「余裕だよ」なんてカッコつけたくせに、
頂上に着いた瞬間、僕の声は裏返った。

「……これ、ワイヤー大丈夫かな」

君のほうが冷静だった。

ホラー映画を見に行ったときもそうだ。
怖いシーンの前に僕は気配を察知し、
いち早く君の腕にしがみついた。

守るどころか、盾にした。

地震速報のアラームが鳴ったときなんて、
真っ先にテーブルの下に潜り込み、
「君も早く!」と叫びながら、
すでにスペースをほぼ占拠していた。

正直に言おう。

僕は強くない。
決断も早くない。
方向音痴だし、優柔不断だし、Wi-Fiの設定も毎回調べる。

でもね。

逃げたいときでも、
君の手だけは離さなかった。

怖いときも、
情けないときも、
みっともないときも、

それでも君の隣からは逃げなかった。

頼りないかもしれない。
いや、かなり頼りない。

でも、僕にはもう君しかいないんだ。

だから、僕を信じて、ついてきて。

この手だけは離さずに。

……ただし、観覧車だけは次回からパスでお願いします。

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