Life 次はどこへ行こうかな… さて、次はどこへ行こうかな……って。選択肢、多すぎるだろう。木製の案内板は、親切な顔をしているくせに、こちらの決断力を静かに試してくる。ミズリーナ湖。名前だけで、もう十分に美しい。澄んだ水面に、山の影が落ちる光景を想像するだけで、少し息を吸... 2025.12.31 LifeSmile
Life 月明かりの航海 僕は、この小さなヨットで一人旅を続けている。波を切るたび、船体が低く唸り声を上げるけれど、それはむしろ頼もしさの証だ。「こんな小さな船で、どこまで行けるんだ?」って?ふふ、案外、ずっと遠くまで行けるものさ。この旅も、もう5日目。嵐の夜も、静... 2025.08.21 Life
Life 砂の世界で生きる 私はこの砂の世界で生きている。見渡す限り、砂。空を見上げれば、果てしない空。それ以外に何もない。あるいは、何も要らない——と思えるほど、この世界は単純だ。砂は風に吹かれ、時に丘を作り、時に跡形もなく崩れる。昨日あったはずの景色が、今日にはも... 2025.07.06 Life
Life やばい、降りられない やばいなあ……。さっきまで、「俺って、やっぱり自然が似合う男!」なんて調子に乗ってたのに、今はその自然に全力で裏切られている。ことの発端は、そう、3時間前のこと。たまたま見つけたこの岩に、なんとなく「のぼってみたら映えるかも」なんて軽いノリ... 2025.06.22 Life
Life 雨の底 「今日は、よく雨が降るわねえ。」ぽつりと、誰に言うでもなくつぶやいた。けれどこの雨は、もう「よく降る」どころの話じゃない。私の足元にあったはずの地面は、とうに見えなくなっていた。水は膝を越え、腰にまで届いている。いや、それ以上かもしれない。... 2025.06.19 Life
Life 旅の終わり 港が見え始めた。青黒い海の向こうに、岸沿いのかすかな灯りがちらちらと明滅している。その光は、まるで長い航海を終えた者たちを優しく迎えるようで、男にとってはどこかロマンティックに感じられた。「もうすぐだね」と、男は目を細めて言った。船の甲板に... 2025.06.15 Life
Life 結婚しよう 男さあ、結婚しよう。今すぐしよう。女そんなこと言ったって。まだ、心の準備が…。男何だよ?そんなもの俺たちに必要か?愛があれば十分だろう?女愛だけではだめなのよ。私に毎年、誕生日の贈り物してくれる?旅行に連れて行ってくれる?贅沢は言わないけど... 2025.03.15 Life
Life 雪原の足跡 オレは極寒の地を歩いている。ほら、見てくれよ。このきれいな足跡を。今は夏だから、吹雪もこないだろうから、しばらくはこれらの足跡もそのまま残っているだろうなあ。このまま消えてほしくないなあ。って、そうじゃないだろう。早く消えてくれなきゃ、困る... 2025.03.09 Life
Life 新聞紙の向こう側 私は紙の新聞が好きだ。インクの少し苦みのある香りと大きな紙面は、父を思い出させる。子供のころ、いつも朝の食卓で、大きな紙面越しにのぞく父の真剣なまなざしは、私にとって、あこがれだった。大人の世界を、一瞬でも感じることができたからだ。冷たくて... 2024.12.07 Life
Life 人生のたそがれには 今からわしの第二の人生が始まる。さっき30年勤め上げた会社で手続きを終えて、帰宅するところだ。今日が最終日だった。朝食の時、妻がささやかな退職祝いのつもりだろうか、いつもよりトーストを1枚多くつけてくれた。あえて礼は言わなかった。なぜなら、... 2024.01.30 Life