Life

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広い海と、狭い人生

「海は広いな、おおきーな」か。なぜ、こんな広くて大きい海で、こんなせせこましい場所に入ってくるんだって?俺たちは、何を隠そう──この辺に隠されたと噂されているバイキングの宝物を探しにきたのさ。人生の一発逆転を狙いに来たってわけだ。思えば、俺...
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静寂の森で

この静かな森の中で、私はひとり、立ち止まっている。雨上がりの地面にはいくつかの小さな水たまりが残り、木々の葉はしっとりと濡れ、空からはまだ、わずかな光しか届いていない。音がないわけではない。鳥の羽音、葉のしずくが落ちる音、遠くの風のかすれた...
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この小さな足で

さあ、君はこの小さな足で、これからいろんなところへ行くんだよ。まだ何も知らない世界。柔らかな風も、冷たい雨も、きっとこれから君の頬に触れるだろう。歩きはじめた道には、きっと山もあれば、谷もある。迷うこともあるし、つまずくこともある。ときには...
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ふたり

細い路地。雨上がりの石畳に、ぽつり、ぽつりと水たまりが残る。壁には色とりどりの絵が描かれているけれど、それを目に留める人はいない。ただ、ふたり。年老いた夫婦が、一本の傘の下に並んで立っている。おじいさんは背筋を伸ばし、古びた帽子の下から空を...
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次はどこへ行こうかな…

さて、次はどこへ行こうかな……って。選択肢、多すぎるだろう。木製の案内板は、親切な顔をしているくせに、こちらの決断力を静かに試してくる。ミズリーナ湖。名前だけで、もう十分に美しい。澄んだ水面に、山の影が落ちる光景を想像するだけで、少し息を吸...
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月明かりの航海

僕は、この小さなヨットで一人旅を続けている。波を切るたび、船体が低く唸り声を上げるけれど、それはむしろ頼もしさの証だ。「こんな小さな船で、どこまで行けるんだ?」って?ふふ、案外、ずっと遠くまで行けるものさ。この旅も、もう5日目。嵐の夜も、静...
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砂の世界で生きる

私はこの砂の世界で生きている。見渡す限り、砂。空を見上げれば、果てしない空。それ以外に何もない。あるいは、何も要らない——と思えるほど、この世界は単純だ。砂は風に吹かれ、時に丘を作り、時に跡形もなく崩れる。昨日あったはずの景色が、今日にはも...
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やばい、降りられない

やばいなあ……。さっきまで、「俺って、やっぱり自然が似合う男!」なんて調子に乗ってたのに、今はその自然に全力で裏切られている。ことの発端は、そう、3時間前のこと。たまたま見つけたこの岩に、なんとなく「のぼってみたら映えるかも」なんて軽いノリ...
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雨の底

「今日は、よく雨が降るわねえ。」ぽつりと、誰に言うでもなくつぶやいた。けれどこの雨は、もう「よく降る」どころの話じゃない。私の足元にあったはずの地面は、とうに見えなくなっていた。水は膝を越え、腰にまで届いている。いや、それ以上かもしれない。...
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旅の終わり

港が見え始めた。青黒い海の向こうに、岸沿いのかすかな灯りがちらちらと明滅している。その光は、まるで長い航海を終えた者たちを優しく迎えるようで、男にとってはどこかロマンティックに感じられた。「もうすぐだね」と、男は目を細めて言った。船の甲板に...