さあ、魚よ。
かかってこい！
俺のエサは新鮮だぞ。
きっと魚界SNSでも「今夜のおすすめグルメ」として話題になってるはずだ。
頬っぺたが落ちるくらいおいしいぞー！
…あれ？ 魚って頬っぺたあったっけ？
まあ、そんなことはどうでもいい。
とにかく、今すぐ食いつけー！
食いつけー！
竿を握る私の姿は、きっと第三者から見れば優雅な釣り人だ。
だが、内心はもうスタジアムに入場するサッカー選手並みに気合が入っている。
なぜなら、このところ「おけら」続きだからだ。
この静けさ…波紋ひとつない水面…
あまりに何も起きないので、もう自分が水族館の展示物なんじゃないかという気すらしてくる。
「珍しい釣り人：3日間連続で魚ゼロ匹（笑）」みたいな札が立てられそうだ。
今の私は、まるでヘミングウェイの『老人と海』の老人。
大物を夢見て海に出たが、現実はひたすら忍耐との戦いだ。
運が悪い？ いや、これはもう呪いレベルかもしれない。
もしかすると湖の魚たちがLINEグループで「アイツのエサ、絶対食べるな」と共有しているに違いない。
…だがな、魚よ。
今日は違う。
今日は絶対に、お前を釣り上げてやる！
（いや、できれば2匹くらい欲しいけど…）
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