「A」
なあ……オレたち、なんでこんなにシマシマになっちまったんだろうな。
「B」
はあ? いきなりなんだよ。
そりゃ、仕方ねえだろ。
オレたちは――シマウマなんだから。
「A」
そうだけどさ、悔しいじゃねえか。
見てみろよ、あっちの馬。
キレイな栗毛、すらっとした足。背中も美しく弧を描いてて……絵になるじゃねえか。
一方、オレたち? 白黒のシマシマ模様で、まるで囚人服みたいだ。
生まれた瞬間から、なんでこんなに差がついてるんだよ。
「B」
……お前、だいぶ溜めてたな。
「A」
だってよ。
見た目って、やっぱ大事だろ?
どんなに速く走れても、どんなに群れ思いでも、
「わーシマウマって美しい!」なんて言われたこと、あるか?
人間どもは言うんだよ、「見分けがつかない」とか、「縞の数が個体識別」だとか……
まるで模様しか見てねぇんだ。
「B」
おいおい、落ち着けって。
まあ確かに、目立ちはしないかもしれねぇ。
でもな、こう考えてみたらどうだ。
オレたちのこの縞模様は、
敵の目をくらますための戦略なんだよ。
動いてるとき、縞がブレて、トラやオオカミは狙いが定まらなくなる。
いわば、“集団で生き残るための擬態”ってやつだ。
「A」
……マジかよ。
「B」
マジだよ。科学的にも証明されてるらしいぜ。
つまりだな、オレたちのこのシマシマは、
『生きるための知恵』なんだよ。
「A」
……そうか。
なんだか、急に誇らしくなってきたな。
“美しさ”より、“強さ”と“知恵”。
悪くないかもしれない。
「B」
そうだろ。
それに――よく見りゃ、このシマ模様だって個性あるんだぜ。
お前の右肩の縞、ちょっとクネッとしてて渋いじゃねえか。
「A」
お、おう。そう言われると悪い気はしねぇな。
……なあ、お前の耳の後ろの縞も、なんか味があるぜ。
「B」
ふっ、だろ?
(ふたりのシマウマは顔を見合わせ、草原の風にたてがみを揺らしながら、静かに草を食み始めた)
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